新宿みやこんじょ継承記No.42〜人手不足だった「みやこんじょ」の今〜

日頃頑張ってくれているスタッフに寿司振舞いました。

みなさんは「飲食業」と聞いてどんなイメージを持ちますでしょうか。
「労働時間が長い」「体力的につらい」「給料が安い」……残念ながら、世間一般ではこうしたネガティブな言葉が並びがちで、常に人手不足に悩まされている業界というイメージが強いかもしれません。

「みやこんじょ」も、つい最近までその例外ではありませんでした。

今回は僕がアメリカにいた頃から帰国し、お店に入るまでに起きた「みやこんじょの劇的な変化」について、僕なりの視点でお話しさせてください。

遠いアメリカの地から、画面越しに見ていたお店の危機

僕がまだアメリカで働いていた頃、「みやこんじょ」のLINEグループにずっと入れてもらっていました。
遠く離れた異国の地から、お店の状況をずっと傍観していた感じです。

毎月、グループに送られてくるシフト表。 そこに並ぶスタッフたちの顔は、当時の僕にはまだわかりません。
それでも「新しい名前が増えたな」と、名前を目にするたびにみやこんじょに思いを馳せていました。

それと同時に、飲食業ならではの「人手不足」というシビアな現実も、画面越しにリアルに伝わってきていました。

通常であれば、最も忙しい土曜日は最低でも8人のスタッフがいなければお店が回りません。
それなのに、シフト表を見るとスタッフが「3〜4人」しかいない日がある。

これから継ごうと思っている僕には絶望的でしかなかったです。
最終手段として、みやこんじょを30年以上来られている常連さんたちにお店を手伝ってもらうこともありました。
手伝ってくれているのは僕の父親と同世代の方々です。

「この人手不足を、一体どうすべきなんだろう……」

アメリカにいながらも、僕はその解決策が見出せず、ずっと一人で悩み続けていました。

帰国1ヶ月前に訪れた、最大の試練

そんな中、僕が日本へ帰国するちょうど1ヶ月前、お店に最大の危機が訪れます。
30年以上もお店を支え続けてくれたベテランのスタッフが、一気に辞めることになってしまったのです。

残されたのは、まだ任されたことのなかったアルバイトスタッフたち。

普通なら、心が折れてお店が崩壊してもおかしくない状況です。しかし、残されたバイトスタッフの方々が

「なんとかしてみやこんじょを保とう」

と、必死になってお店を守り抜いてくれたのです。

彼らの踏ん張りがなければ、今の僕の居場所はなかったかもしれません。

僕が入ってから起きた、信じられない変化

さぁ、それから僕が帰国し、実際に「みやこんじょ」に入ってからはどうなったでしょうか。

結論から言うと、ありがたいことに、あの深刻だった人手不足は「一切」なくなりました
それどころか、今では「みやこんじょでバイトをしたい」と待ってくれている子がいるくらいです。
かつて土曜日に4人で回していた頃を知る人からすれば、

「一体、今までのは何だったのだろう?」

と狐につままれたような気持ちになるかもしれません。

この劇的な変化の背景には、スタッフみんなの成長があります。 特に大きかったのは、これまでキッチン業務をやったことがなかった子たちが、「自分がキッチンを覚えるよ」と自発的に新しいポジションに挑戦してくれたことです。
一人ひとりができる仕事の幅が増えたことで、チームとしての戦闘力が爆発的に上がりました。

でも、なぜ彼らはそんな風に主体的に動いてくれるようになったのか。
手前味噌になりますが、僕はアメリカにいた頃に自分なりに学んだ「理想のリーダー像」を、このお店で絶対に実践しようと決めていたからだと思っています。

僕がアメリカで学んだ「良いリーダー」の条件

アメリカで働いていた時、僕はたくさんの上司を見てきました。いわゆる「良いリーダー」と「悪いリーダー」の両方です。その経験から、僕は働く環境においていくつかの絶対的なルールを自分に課しました。

一番大切にしているのは、「絶対に感情的にならないこと」です。 過去に僕自身が上司の顔色を窺いながらビクビク仕事をする経験をして、本当に嫌な思いをしました。そんな不健全な職場には絶対にしたくなかったのです。

次に、「下の子を尊敬すること」
アメリカで出会った尊敬できる上司は、年下の僕に対しても常に敬語を使って接してくれました。
何かを頼むときは必ず「お願いします」と言い、終われば「ありがとう」と感謝を伝える。
そんな当たり前のリスペクトを、僕もスタッフ全員に持とうと決めました。

そして最後に、「理不尽なことは要求せず、締めるべきところは締める」ということ。
ただ優しいだけの「甘い職場」では、本当の信頼関係は生まれません。
普段はフランクに接していても、間違っていることや、お客様のためにならない行動に対しては、感情的にならず、理由を添えてしっかりと伝えています。

目指すのは、バイトの子がふらっと飲みに来ちゃうお店

僕が目指しているのは、単なる「労働力を提供してお金を稼ぐ場所」ではありません。

アルバイトの子が、自分のシフトが入っていない休みの日に、「なんか落ち着くから」と、ふらっと飲みに来やすいようなお店づくり。
それこそが僕の理想です。
スタッフ自身がお店のファンであり、居心地がいいと感じてくれているからこそ、お店のピンチには主体的に動いてくれるし、新しい仲間も自然と集まってくるのだと確信しています。
そしてそのような雰囲気はお客様に伝わるのです。

居酒屋は大変な仕事かもしれません。
でも、みやこんじょには、それを超える「楽しさ」「温かさ」が詰まっています。

これからも、この最高のスタッフたちと一緒に、お客様を笑顔にできる素晴らしいお店を作っていきます。
新しく生まれ変わったみやこんじょを、これからもどうぞよろしくお願いします!

マスター

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この記事を書いた人

宮崎居酒屋「みやこんじょ」二代目。
アメリカで寿司職人を経験後、父の店を継ぐ決意をしました。
人と人がつながる場所としてのみやこんじょを、次の世代へつないでいきたいと思っています。
二代目としての日々や、店のリアルを発信中。