番外編 最終回『新宿・みやこんじょ二代目の「アメリカ武者修行」12年全記録』

アメリカ生活、12年。
皿洗いからミシュラン職人へ駆け抜けた僕の、
嘘のような本当の話。
帰国を目前に控えた今、
その全軌跡を六話に分けて公開します。

【目次】

【最終回】さらばアメリカ。12年の悔いなき終止符と、新宿での新たな挑戦

2024年、僕は一つの大きな決断を下しました。

「日本へ帰ろう。」

アメリカで手に職を持ち、健康であれば
この国では確かにお金には困らない生活が送れます。
年収5,000万円という夢のような数字が
目の前を横切ったこともありました。
でも、マイアミの異常なまでの物価高、そして


「もし今、大きな病気や事故に遭ったらすべてが終わる」

というアメリカならではの隣り合わせの不安

そんな現実の中で、
僕の背中を強く押してくれたのは、妻となったKTの言葉でした。

「私、また日本に住んでみたい。日本には良い思い出がたくさんあるから」

約30年前、彼女が住んでいたエリアを訪れました。

7歳から9歳まで日本で過ごし、日本語も話せる彼女がそう言ってくれたこと。
そして、新宿で店を営む父が食道癌を患い、
その後トラックと自転車の交通事故をきっかけにリタイアを真剣に考え始めたこと。
すべてのタイミングが、カチリと音を立てて「今」に重なりました。

帰国を1年半延ばした「最高の寄り道」

最後に働いたお店。今までと違いカジュアルなお店でした

当初は2025年2月に帰国する予定でした。
その前に

「最後は友達の店で楽しく働こう」

と、マイアミの別の寿司屋へ移籍したのですが、
ここで予想外の事態が起こります。

「……仕事が、めちゃくちゃ楽しい」

日本人に囲まれ、美味しい賄いを食べ、忙しさに追われる日々。


「このまま数ヶ月で辞めるのは、あまりにも心残りすぎる」

そう感じた僕は、家の契約更新に合わせて、
帰国をさらに1年半延ばすことにしました。

40歳を目前にして、1日10〜12時間動きっぱなしの労働
正直、体はボロボロです。
でも、この「寄り道」のおかげで、
僕の中からアメリカ生活に対する未練は、一滴も残らず消えていきました。

マイアミにいた約5年間で合計10匹の犬や猫を保護して里親もさがしました

「お礼奉公」から始まった12年の旅

振り返れば、2014年。
英語も話せず、日本が大好きで、泣きそうな顔で成田空港を飛び立った26歳の僕。
ラテン系の同僚に舐められ、股間を触られ、皿を洗っていたあの日々が、

今の僕の「根性」を作りました。

ミシュランの星を二度も経験し、パンデミックで職を失い
それでも運と包丁一本で這い上がってきた。
5ヶ月で辞めるはずだった最後の職場も、
結局2年勤め上げました

「アメリカ生活に、もう全く悔いはない」

そう胸を張って言えることが、僕がこの12年で手に入れた、
ミシュランの星よりも価値のある財産です。

最後の思い出にフルマラソンも走破!

悔いなき帰還:成田空港で、12年前の自分と待ち合わせ。

2026年、5月。僕は再び、あの場所へ降り立ちます。
12年前、不安と緊張で手汗を握りしめながら飛び出した、成田空港です。

あの日、英語ゼロで、日本への未練を断ち切れず、
まるで逃げ場のない戦地に向かうような顔をしていた26歳の僕
今の僕があの日の自分に出会ったら、きっと肩を叩いてこう告げるでしょう。

「おい、心配するな。お前はこれから、皿洗いから這い上がり、
スペイン語を操り、ミシュランの星を二度も獲る。
そして、5,000万円のオファーを断るくらい、自分の信念を貫ける男になるんだぞ」

12年という歳月は、僕をただの

「寿司職人」ではなく、


「アメリカを生き抜いた一人の男」

に変えてくれました。

40歳を目前にした今、雇われて12時間働く限界も、
家族や健康の尊さも、身に染みて理解しました。
だからこそ、今このタイミングで帰ることに、

一ミリの迷いもありません

来月、成田空港の到着ゲートをくぐる時、
僕は12年前とは全く違う景色を見ているはずです。
それは、

アメリカから志半ばで去る「リタイア」ではなく
すべてを吸収し尽くした男の「凱旋」なのです。

新宿「みやこんじょ」二代目としての幕開け

空港のゲートを出れば、そこから新宿「みやこんじょ」への新しい道が始まります。

父が築き上げてきた「みやこんじょ」という城を継承し、
アメリカで培った「不屈の精神」「世界の視点」を注ぎ込む。
それが僕に課せられた、次なるチャレンジです。

SNSを通じて、すでに新しい繋がりもでき始めています。
アメリカで出会った最高のパートナー・KTと共に歩む第二の人生
これから始まる「新宿編」は、きっとアメリカ編に負けないくらい、
刺激的で温かいものになるはずです。

12年間の思い出と、確かな技術を詰め込んだ包丁ケースを抱えて。

「ただいま、日本。さあ、次は新宿で頑張ります!」

アメリカ12年間の物語、これにて完結。
新宿での新たな挑戦、第1章の始まりです!

マスター

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この記事を書いた人

宮崎居酒屋「みやこんじょ」二代目。
アメリカで寿司職人を経験後、父の店を継ぐ決意をしました。
人と人がつながる場所としてのみやこんじょを、次の世代へつないでいきたいと思っています。
二代目としての日々や、店のリアルを発信中。